『やきものに捧げて 小山冨士夫展』 ~作品紹介~
この一週間は雪の予報に翻弄された日々となりました。
ほんの数分脅かしのように降った雪は、例年の雪とは違いフワッフワッの鳥の羽毛のような雪……。
コートの袖口にとまった雪の一片をじっと見ていたら、ほんわかした不思議な気分になりました。
今週末金曜日から始まる『やきものに捧げて 小山冨士夫展』。
小山冨士夫先生の作品も、そんな柔らか雪の一片のような穏やかさがあってそっと惹き寄せられます。
今年は、此処「しぶや黒田陶苑の五十周年」の記念の第一弾として、弊社社長とも深く親交のあったご縁で小山冨士夫先生の作品を集めてみました。
どうぞご高覧戴けましたら幸いに存じます。
では、その中から数点ですがご紹介させて戴きます。
昭和45年、種子島より「種子島にあった能野焼(よきのやき)の再興に協力してほしい」と要請があった。
前年に台湾の故宮博物院に招かれた際に途中、沖縄那覇の「壺屋やむちん」の里で、赤い南蛮風の無釉焼締の「荒焼」(アラヤチ)に惚れ込み、新垣栄用窯で作陶された経験を活かし、昭和46年、種子島に出向き能野焼古窯址付近の12種類の土を採集して、鎌倉の永福窯で試験焼され、その中から田土を選んだのが始まりとされている小山先生の種子島の作品作り。
土の耐火度は低いが、きめ細かな土が気に入られ、加えて、燃えたぎる薪窯の脇に水を撒くという離れ業により焼き上がりを柔らくしたと言われている。
決して土に逆らわず、一気加勢に挽きあげた作為のない形は、その傾きも味わい深く自然で、柿の蔕茶碗のような広がりが気持ち良い。
轆轤引きした翌日には削られたという高台も、勢いのある「撥高台」となり躍動感あふれる力強さを与えている。
点てる人、戴く人、鑑賞する人、全ての人に優しく、それでいて押しつけがましくない、温かなオーラを持つお茶碗。
掌に乗せると馴染みよく、穏やかな気持ちにさせられる。
黒っぽい土色にかかる白い粉引が窯変により甘い緋色に変化し、何とも味わい深い。
随所にみられる鉄斑と大小の石ハゼがリズムとなって愉しませてくれる。
姫柿とも呼ばれる観賞用の老爺柿(ろうやがき)のような、小さくとも存在感あふれる風情ある一品となっている。
透き通るような青磁釉の青の下に流れる土から溶け出した鉄分の流れや、大小様々な細かな気泡も大変に美しい。
白い釉に変化する灰釉が掛けられることにより、三本筋に溜まった釉が白く変化し、モノクロの現代的な雰囲気となっている。
盃には灰釉が空にうっすらと掛かる雲のように現れ、気持ち良さそうに鳥が羽ばたく。
土味を愉しむように作られた盃は、随所に土の中の鉄分が溶け出して様々な変化が愉しめる。
その小さな世界に胡麻が降ったり、抜けた目跡が3つ並び、何とも愉しい作品となっている。
静かに並ぶ小山先生の作品を眺めていると、私たちが知らない頃からお世話になり、学び、支えられてきたのだと感じます。
じっくりと愉しんで戴ける展示となっております。
どうぞ皆様のご来苑をお待ちしております。
※尚、図録、DM掲載外の作品に関しましてはご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。
ほんの数分脅かしのように降った雪は、例年の雪とは違いフワッフワッの鳥の羽毛のような雪……。
コートの袖口にとまった雪の一片をじっと見ていたら、ほんわかした不思議な気分になりました。
今週末金曜日から始まる『やきものに捧げて 小山冨士夫展』。
小山冨士夫先生の作品も、そんな柔らか雪の一片のような穏やかさがあってそっと惹き寄せられます。
今年は、此処「しぶや黒田陶苑の五十周年」の記念の第一弾として、弊社社長とも深く親交のあったご縁で小山冨士夫先生の作品を集めてみました。
どうぞご高覧戴けましたら幸いに存じます。
では、その中から数点ですがご紹介させて戴きます。
4:種子島
陶芸家として専念されたのが66歳の昭和41年。昭和45年、種子島より「種子島にあった能野焼(よきのやき)の再興に協力してほしい」と要請があった。
前年に台湾の故宮博物院に招かれた際に途中、沖縄那覇の「壺屋やむちん」の里で、赤い南蛮風の無釉焼締の「荒焼」(アラヤチ)に惚れ込み、新垣栄用窯で作陶された経験を活かし、昭和46年、種子島に出向き能野焼古窯址付近の12種類の土を採集して、鎌倉の永福窯で試験焼され、その中から田土を選んだのが始まりとされている小山先生の種子島の作品作り。
土の耐火度は低いが、きめ細かな土が気に入られ、加えて、燃えたぎる薪窯の脇に水を撒くという離れ業により焼き上がりを柔らくしたと言われている。
決して土に逆らわず、一気加勢に挽きあげた作為のない形は、その傾きも味わい深く自然で、柿の蔕茶碗のような広がりが気持ち良い。
轆轤引きした翌日には削られたという高台も、勢いのある「撥高台」となり躍動感あふれる力強さを与えている。
1:粉引
「陶と人」を愛した巨星と言われた小山先生。点てる人、戴く人、鑑賞する人、全ての人に優しく、それでいて押しつけがましくない、温かなオーラを持つお茶碗。
掌に乗せると馴染みよく、穏やかな気持ちにさせられる。
黒っぽい土色にかかる白い粉引が窯変により甘い緋色に変化し、何とも味わい深い。
随所にみられる鉄斑と大小の石ハゼがリズムとなって愉しませてくれる。
26:柿香合
小さな小さな香合。姫柿とも呼ばれる観賞用の老爺柿(ろうやがき)のような、小さくとも存在感あふれる風情ある一品となっている。
28:青磁筒
青磁に特価された先生方とは違い、素地の作りも厚みをもって衒いのない朴訥とした雰囲気の花入は、自然界に流れる水や空気のようでどんなお花も優しく受けとめてくれそう。透き通るような青磁釉の青の下に流れる土から溶け出した鉄分の流れや、大小様々な細かな気泡も大変に美しい。
63:黒地白筋徳利 / 47:絵唐津盃 花ノ木窯
ゆったりとした作りの徳利の胴にはたっぷりと鉄釉を施した後に、無造作に三本筋が掻かれている。白い釉に変化する灰釉が掛けられることにより、三本筋に溜まった釉が白く変化し、モノクロの現代的な雰囲気となっている。
盃には灰釉が空にうっすらと掛かる雲のように現れ、気持ち良さそうに鳥が羽ばたく。
16:斑唐津盃
高温で焼き上げられ、透き通るような斑釉。土味を愉しむように作られた盃は、随所に土の中の鉄分が溶け出して様々な変化が愉しめる。
20:信楽小皿(六客)
直径7センチ程の小さな豆皿。その小さな世界に胡麻が降ったり、抜けた目跡が3つ並び、何とも愉しい作品となっている。
静かに並ぶ小山先生の作品を眺めていると、私たちが知らない頃からお世話になり、学び、支えられてきたのだと感じます。
じっくりと愉しんで戴ける展示となっております。
どうぞ皆様のご来苑をお待ちしております。
※尚、図録、DM掲載外の作品に関しましてはご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。
(葉)
やきものに捧げて 小山冨士夫展
Exhibition of Koyama Fujio
開催期間:2月15日(金) ~ 2月26日(火)
休業日:21日(木)
Exhibition : February 15 to February 26, 2019
11:00~19:00
開催期間:2月15日(金) ~ 2月26日(火)
休業日:21日(木)
Exhibition : February 15 to February 26, 2019
11:00~19:00