意欲という歩調を止めない丸田宗彦

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三十回記念展・・・、活字にすれば安易だが、初個展から当苑だけでの30回目の個展となった。
それも薪のみで焼成する本来の唐津焼という範疇の中、何度目かの個展の出品作の中に諸人がなしえなかった胴木の間で施釉なしの粉引を焼成して、私は度肝を抜かれた嬉しい思い出がある。




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唐津では、初めての窖窯を築いて梅華皮の絵唐津・奥高麗・井戸・御所丸などを焼いた。さらに引出黒・織部黒・楽焼をも唐津焼で初めて成功させた。こうした卓越した作技を変転させたばかりでなく、自然で美しい本来の窯変を探り求める君に敬意を表したい。



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図21(No.7) 朝鮮唐津やぶれ梅瓶
Meiping, Chosen-karatsu
19.8 / H31.0cm

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図22(No.5) 斑唐津耳付花入
Eared flower vase, Madara-karatsu
14.8 / 14.2 / H28.4cm

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図13(No.17) 唐津黒織部茶盌
Tea bowl, Karatsu, Kuro-oribe
13.8 / H10.2cm



ご尊父は、「九州民芸陶の雄」といわれた丸田正美(大正14年生れ)、黒牟田焼の中に呉須などの塩釉を取り入れ独特で雄渾な民芸陶を制作されていた。1979年12月に54歳という若さで亡くなられ、その悲しみも去らぬ四か月後、高校卒業した宗彦は修業のため、栃木県益子へ旅立った。子供の頃、裏山にザクザクあった古唐津の陶片が遊び道具だったこともあり、まさに与えられた宿命の様に陶芸の道を選んだのだ。
濱田篤哉氏に四年間師事されてから故郷の黒牟田に帰って塩釉を使った作品や古唐津を手本にした絵唐津を手がけていた。



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図20(No.10) 絵唐津壷
Vessel, E-karatsu
18.0 / H12.4cm



民芸陶黒牟田焼の揺るぎない名門に育った丸田宗彦が独立して武雄市の高台に登窯「内田皿屋窯」を築いたのは昭和62年(1987)9月のこと。独立に際して頼りの父もなく自ら粉骨砕身したことは疑いもなく、その陰の努力には頭が下がるのである。
私は平成2年(1990)、親しくしていた中川自然坊が「会わせたい若手がいます。すぐ行きましょう」と慌ただしく玄海から武雄に向かったことを思い出している。
宗彦29歳の時で数年後のデビュー展(1993)を当苑で開催させて戴いたのだ。



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古唐津の追及からその基本は良土を見極め採取することだと知った君は、古唐津の名窯と謳われている古窯址を改めて巡って良土を探し出し、奥高麗や絵唐津では古唐津に迫る風韻を醸し出そうとした。



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図2(No.12) 奥高麗茶盌
Tea bowl, Oku-gorai
14.4 / H8.2cm

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図4(No.25) 絵唐津茶盌
Tea bowl, E-karatsu
10.2 / H9.4cm



釉調が穏やかな斑唐津壺、花入、そして朝鮮唐津に変化を求めて窯焚の最終番に火床に落として焼成を続けた。意欲という歩調を止めず、造形と焼成技術が心技とともに開花してきたのである。



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図15(No.2) 斑唐津壷
Vessel, Madara-karatsu
29.4 / H22.6cm



今回挑んだ斑釉の流し掛け茶碗は、焼成度の高きをも想念する出来栄えである。掛分の新しき意匠を思わせるが、人為にて限界を超越する天心合作のそれである。察するに数秒の釉掛けと高温焼成に多くのものを諦めたに違いない。



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図9(No.18) 白黒流茶盌
Tea bowl, Black with white flow glaze
11.6 / 10.8 / H9.8cm

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図11(No.19) 斑釉流茶盌
Tea bowl with Madara flow glaze
13.6 / H8.8cm



今年の干支は「辰」、李氏朝鮮王朝のシンボル龍は神格化されて聖獣となり、李朝中期の17世紀に鉄砂雲龍文壷がつくられている。本歌は磁土だが、宗彦は白化粧の粉引に得意の絵筆をもって鉄絵でこの聖獣を描いた。古陶を咀嚼した丸田宗彦独自の好技といえるだろう。



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図14(No.1) 龍文壷
Vessel, Dragon motif
30.2 / H28.8cm



直接炎が作品に降り注ぐ窯焚では窯出しの際、同じ作風でも出来不出来が混在するが、土・造・炎に精魂込めた作者自身が選び抜いた力作がこの三十回展で発表される。
     
   
しぶや黒田陶苑    黒田草臣  







 【丸田宗彦三十回記念展】 
Exhibition of MARUTA Munehiko
開催期間:2024年4月12日(金) ~ 2024年4月23日(火)
Exhibition : April 12 to April 23, 2024
休業日:18日(木)

第一部:酒器・食器 他    4月12日(金)~16日(火)
第二部:壺・花入・茶碗 他  4月19日(金)~23日(火)

I:Sake Ware and tableware from April 12th to 16th.
II:Vessel ,Flower Vase and Tea Bowls from April 19th to 23rd.
Closed on Thursday, 18th.




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右から From Right

図32(No.32) 斑唐津ひさご徳利
Sake bottle, Madara-karatsu, Gourd shape
9.0 / H14.0cm
売約済 / Sold

図33(No.42) 唐津黒ぐい呑
Sake cup, Karatsu, Black
7.2 / H4.9cm
売約済 / Sold

図34(No.49) 唐津皮鯨ぐい吞
Sake cup, Karatsu-kawakujira
6.8 / H5.1cm
売約済 / Sold

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図46(No.58) 朝鮮唐津洲浜形向付揃
A set of 5 sandbar-shaped dishes, Chosen-karatsu
19.2 / 16.0 / H2.0cm









 京橋 魯卿あん 
 Rokeian
〒104-0031 中央区京橋2-9-9
TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
http://www.kurodatoen.co.jp/rokeian/
営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日




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