魯卿あん便り ~ 月やこの世の 鏡なるらん
魯卿あんのお茶室では、季節に合うしつらえをご用意しております。
仲秋の名月を迎える今月は月に因む三幅をご覧ください。
まず1週目は小杉放庵先生の月に鶉。
鶉図と言えば根津美術館に有名な南宋の画院画家・伝李安忠筆の国宝があります。日本では土佐光起や酒井抱一など様々な画家を描いています。鶉は、中国では「鵪(an)」と書くそうです。「安」と同音である事から安じる意味があり安穏や安泰や平安などの意味に繋がっているようです。
小杉放庵先生は月を見上げる鶉を描きました。
「放庵紙」とも言われる放庵好みの麻紙は独特の筆の掠れなどを表し、詩的な放庵の世界観を表現しています。
お床にはお月見ということで台鉢にお団子をお載せしております。この台鉢は一見すると李朝白磁に見えますが富本憲吉先生の初期の作品です。李朝白磁を忠実に倣ってから独自の白磁を打出したことが良くわかる貴重な資料作品となっております。
花入は竹細工の代表格である飯塚琅玕斎先生。まだまだ暑いのでやや涼しげな竹のもので凌ぎたいと思います。お花は秋明菊・女郎花・芒。
通常、色が重なるものや同一の作家のものは取り合わせで嫌います。しかしながら掛花入と同様に暑さに耐えきれず涼しげな白の水指にしております。同じ白でもこちらの塚本快示先生の柔らかな貫入のある白磁をお使いしております。白磁でも色々なので重なりをお許しください。
茶碗は塚本快示先生と昵懇であった小山冨士夫先生の油滴天目を使っております。星空のような油滴天目の美しさをお楽しみください。
飯塚小玕斎
煤竹裏節茶杓
共箱
茶器も惑星を思わせる長谷川清吉先生の南鐐を用いております。茶杓は掛花入の飯塚琅玕斎先生の御子息の飯塚小玕斎先生の「一葉」というご銘のものを使っています。「一葉落ちて天下の秋を知る」とはわずかなことを見て大勢を予感する意味します。この季節も世の中のことも急に変わるわけでない。何が起こるにせよ小さな兆しがあると思われるので見逃さないようにしたいと思っております。
それにしても早く涼しくなると良いですね・・・。
信楽:信楽灰被花入 共箱
お花:ローゼル・野ばら
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京橋 魯卿あん
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営業時間:11:00~18:00
定休日:日曜日・祝日
TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
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