陶房の風をきく~正木春蔵展~
湯盌展、酒器展などでいつも染付や色絵の魅力的な作品をご出品いただく正木先生。
当苑での個展は何十年振りにもなるもので、皆が個展を待ち侘びていたことかと思います。
そんな正木春蔵先生にいくつかお話を伺いました。
●一つの作品が完成するまで
作品の絵付には大きさ、絵付けの細かさ、古染付の様な軽やかさのある線と祥瑞の重みのある線などの線の種類によって描く速度が異なります。
また同じ軽やかな線でも芙蓉手などは手数が多いので時間がかかるといいます。
作品の絵付には大きさ、絵付けの細かさ、古染付の様な軽やかさのある線と祥瑞の重みのある線などの線の種類によって描く速度が異なります。
また同じ軽やかな線でも芙蓉手などは手数が多いので時間がかかるといいます。
先生方は下書きを一切されないため、作るものの種類が多く、パターンが決まっていない模様は間合いを測ることに時間がかかることもあり、どのくらいの時間で完成するかいうことができません。
ものの5分、10分でできるものから何時間もかかるものまであるそう。
「私どもは主に食器を作っています。
それで数を作らねばなりません。
だいたい50から100個単位で作っていきます。
1個づつ仕上げるのではなくてパーツごとに流れ作業の様に仕事をしていきます。
仕上がりはだからいっぺんに50個とか100個出来上がるのです。一種類大抵の場合1週間とか2週間とかかかります。
私どもの仕事で色絵染付という方法がありますがこれは染付をやった物を一度焼いて其上にまた上絵付けを行うので
時として何ヶ月も後で出来上がる、或いは何年も先にやっと仕上がるということもあります。」
時として何ヶ月も後で出来上がる、或いは何年も先にやっと仕上がるということもあります。」
●余白と彩色
正木先生の絵付には食器単体だけでなく器に物を載せたときにぴったりの心地の良い余白や選ばれる色のバランスが魅力的です。
それを実現する為にやはり先生が意識されることは食器であること、つまり料理との相性や器形とのバランスを一番に考えられるのだそう。
それに加えて、絵付けの主題の意味や風情といったことも考えられます。
●ありのままであること
正木先生の生家は山代温泉にある名門旅館「白銀屋」で、身近に魯山人先生や須田青華先生の作品を見る環境にあり、師・三代須田青華先生の元で学ばれていた正木先生。
色絵・染付ともに先人たちのものを吸収され、さらにご自身のオリジナルへと昇華されています。
正木先生の生家は山代温泉にある名門旅館「白銀屋」で、身近に魯山人先生や須田青華先生の作品を見る環境にあり、師・三代須田青華先生の元で学ばれていた正木先生。
色絵・染付ともに先人たちのものを吸収され、さらにご自身のオリジナルへと昇華されています。
先生は須田青華先生を始め先人から多くを学んでいると感じておられ、同時に古染付や古九谷など多くのものからも学びや影響があると感じられているそう。
「師の言葉としては色々多くありますが一つ挙げますと『食事はリラックスが大事だから器もリラックスして作らないと食べる側も緊張してしまっていけない』と作る時の心構えを諭されましたこと、鮮明に覚えています。
又、『自然』であることを常におっしゃられていました。」
どちらもありのままの状態で器を作ることに繋がると思いますが、その"ありのまま"で作れるまでに沢山の修練を重ねた人にこそ実現できることなのだと感じます。
●移りゆく
今回の展示会では数年間かけて先生に作品をお送りいただき、展示会を開催することができました。
会場をご覧戴くと分かりますが、その種類も豊富で先生も記憶しきれないほど多くの作品が一堂に会することとなりました。
今回の展示会では数年間かけて先生に作品をお送りいただき、展示会を開催することができました。
会場をご覧戴くと分かりますが、その種類も豊富で先生も記憶しきれないほど多くの作品が一堂に会することとなりました。
先生に思い入れのある作品についておうかがいした所、作っている際にはその都度、一つ一つに思いがあって作られますが、すぐ次の作品の制作に取り掛かるため瞬時に思いが移っていくのだそう。
並んでいる作品が各種各様であるように、先生の作られる食器は種類と数がいるので、留まっていられないとのこと。
「常々思うのは器は料理との相性だけではなく食べる人との関係、思い、食べる時、場合、場所などとの関係も大事だなと言うことです。
料理も年々、流行り廃りもあって私が器作りに携わる様になった最初の頃から或いは最近を見ますと随分様変わりした様に見えます。
ですから作っている間、其器の使われる料理やシチュエーションなど妄想しながら作っているのですが夢、幻の様なことですので作り終えるとすっかり忘れて次の妄想に入っていくのです。」
また先生は時としてお客様が使っていらっしゃる場面に遭遇するそうです。
その時思いがけない素晴らしい使い方をされるのを見て感激されるのだとか。
その時思いがけない素晴らしい使い方をされるのを見て感激されるのだとか。
留まらずに移ろいゆくからこそ、叶うことならどれも手に取りたくなってしまうような器が常々生まれてくるのだと思います。
そしてそれを使う側もまた、夢中になってよりその器が美しく見えるように使いたいと思わされるのではないでしょうか。
そしてそれを使う側もまた、夢中になってよりその器が美しく見えるように使いたいと思わされるのではないでしょうか。
●心動かされるもの
先生のお仕事には古染付に倣ったものが多くあります。
よく似て異なる雰囲気を持つものに伊万里がありますが、近頃古伊万里にその面白さを感じられているそうです。特に小さな小皿などに粋なものがあると思ったそう。
先生のお仕事には古染付に倣ったものが多くあります。
よく似て異なる雰囲気を持つものに伊万里がありますが、近頃古伊万里にその面白さを感じられているそうです。特に小さな小皿などに粋なものがあると思ったそう。
古染付に見られる形や絵がのびやかな雰囲気、古伊万里には金彩なども用いられる華やかな雰囲気も見られます。
ご自分の作品に取り入れられること考えられているかは分かりませんが、つい小さなもので先生の作品にもそんな要素が新たに加わっても先生らしく上品に昇華されるのだろうと想像してしまいます。
まだまだ先生の作られる世界を見させてもらいたいと思うばかりです。
ご自分の作品に取り入れられること考えられているかは分かりませんが、つい小さなもので先生の作品にもそんな要素が新たに加わっても先生らしく上品に昇華されるのだろうと想像してしまいます。
まだまだ先生の作られる世界を見させてもらいたいと思うばかりです。
正木先生には初日である9月13日(金)にご在廊を予定しております。
久方ぶりに先生の作品が揃う様子をぜひご高覧いただけますと幸いに存じます。
皆様のご来苑をお待ちしております。
(梨)
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【色絵・染付 正木春藏展】
開催期間:2024年9月13日(金) ~ 2024年9月17日(火)
開催期間:2024年9月13日(金) ~ 2024年9月17日(火)
Exhibition of MASAKI Shunzo
Exhibition : September 13 to September 17, 2024
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