常設より 菊池克先生の酒器のご紹介
東京ではしとしと雨が降り、秋らしいひんやりとした空気に包まれています。気温の高い日が続いたことで富士山の初冠雪が遅れているとのことですが、ようやく本格的な秋に移行していくのでしょうか。
本日は常設より菊池克先生の酒盃をご紹介致します。
昨年の秋に当苑での10回目の個展を開かれた菊池克先生。東京でお生まれ・お育ちになりましたが、大学卒業後スペインに留学に行かれました。ご帰国後、唐津の中川自然坊先生の下で修業されたのち、大分県国東半島に移られ、自らが築いた登り窯にて作陶されています。豊かな自然の中、様々な角度から日々作陶の幅を広げていらっしゃり、当苑の個展では毎年新たな試みをお持ち下さいます。
築窯より掲げられる「拈圡微笑」のモットーのもとで、それぞれのテーマは先生ならではの洒脱な視点で深められており、その温かく実直なお人柄を通じて生みされる作品は多くの人々の心をとらえ、個展はいつもたくさんのお客様で賑わっております。
茶碗や花入の他、造形性に富んだ食器や技巧を凝らした水滴や筆禍なども作られていますが、本日は酒器を取り上げたいと思います。
13,200円(税込)
三方から窪みが付けられ手に取りやすい形状になっています。最も収まりの良い角度を探して手のひらの上で回しているうちに、その掌を通してじっくりと馴染んでくる感覚があります。斑釉特有の乳濁の広がりの中に、その向こうか透けて見える光の粒のようなオレンジがかった明るい斑点が集まっているのがひとつの見所ではないでしょうか。見込みの中心に向かって緩やかな釉の流れも感じられます。
13,200円(税込)
克先生は粉青の器を様々作られていますが、こちらはころんとした印象の酒盃。胴いっぱいにもくもくと広がる厚みのある雲と、上空の強い風を感じさせる刷毛目の流れのコントラストという粉青ならではの表現が堪能できる作品となっています。見込はマットな深いグレーでおおわれています。
13,200円(税込)
深みある緑釉で覆われた高杯。足はさほど高くなく安定感がある一方、杯はストンと立ち上がり、底縁はシャープに成形されているため、すっきりとした印象があります。脚を覆う緑釉はやや薄く、緑釉ならではのムラが楽しめる作品となっています。
それぞれ異なる魅力をもつ酒器を3点ご紹介させていただきました。いずれも当苑に在庫がございます。お目に留まった作品がございましたら、他角度からの写真などをお送りしてご紹介することも出来ますので、お気軽にお問合せ下さい。
なお、本年は、2024年11月29日(金) ~ 2024年12月3日(火)に【菊池克 作陶展】を開催する予定です。夏に韓国で作陶の旅をなさった克先生からどんな作品が届くのでしょうか。是非楽しみにお待ちいただければと存じます。
(七)
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