国を超え、民族を超え、時代を超えて

芝生に散り敷いたように落ちているハナミズキの葉をしばらく前から眺めている。掃こうと思いつつ、ついつい後回しになって、さて今度の休みの日こそと、やる気に発破をかけると天気は雨。というわけで、延び延びになっていたが、やっと掃き集めた葉を袋に詰め終わった。ハナミズキの木に目をやると、まだ色づいた葉がたくさん付いている。何日かしたら、また落ち葉掃きだなあと気が重くなったが、赤く色づいたきれいな葉を見たら、文句を言えなくなった。

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『気と明る寂び 辻清明展』、本日スタートしました。辻󠄀先生の作品の全容が分かる希少な展示となっております。会期も11月10日(日)までと通常より長い会期ですので、是非ご高覧ください。


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先生の個展の図録をはじめ資料を置いており、また先生の作陶の様子が分かるビデオを流しておりますので、どうぞご覧ください。


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No.16 唐津花生

大胆にザックリと削られた素地とたっぷりとかかった釉薬の対比が見事にコントラストを描いている花生である。先生の陶印もはっきりと刻まれている。

_MG_0137.jpg蕪茶碗.jpg_MG_0138.jpg蕪茶碗1.jpg_MG_0139.jpg蕪茶碗2.jpg

No.11 唐津茶盌


先生がよくモチーフにお使いになる蕪が軽やかなタッチで描かれた茶盌。口の内側にも蕪の葉が描かれているのが、いかにも新鮮な蕪を連想させる。

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No.7 信楽土自然釉茶盌

信楽特有の粗目の土に赤褐色の火色が出て自然釉のビードロも見られる景色に富んだ茶盌。

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No.33 信楽盃

高さ7cmにも満たない筒形の小さな盃。信楽の特徴の良く現れた作品は力強い。

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No.43 唐津百合鉢

鉢の中に流れた釉薬の筋が花芯を囲む雄しべのように見える、ダイナミックな鉢。


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左 : No.52 信楽墨台 右 : No.24 伊賀鳥水滴

このように並べると、まるで鳥が水を飲もうとしているように思えてくる。

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No.57 硝子手鉢

漆黒の硝子の手付の鉢。飴細工を作る時に柔らかな飴を伸ばす時のような曲線のストライプの持ち手。外側は墨流しの模様のようで、対比が美しく、金属のようにも見える。

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正面から時計回りに No.37 唐津盃  No.38 絵唐津盃  No.39 白磁盃 慶洲土  No.40 唐津雨だれ文向付

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No.58 宙吹き皿 五枚

美しい黄金色にも映る五枚のガラス皿。少し窪んだ皿の中央には小さな葉のような柄が繊細な線で描かれていて、ガレのグラビュ―ル彫刻をふと思い出した。


今週の花

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軸: 風
花器: No.55 硝子花生
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雪柳・ノコンギク

春に雪のような細かい白い花を咲かせる雪柳の葉が見事に紅葉して美しい。


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No.65 信楽釘掛花入
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ホトトギス
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タデ


辻󠄀先生は古美術・仏教美術の愛好家でらしたお父様のところに連日のように風呂敷包みを提げた古美術商が美術品を見せに訪れるのが日常だった。大事そうに広げるものを幼心にも宝物を見るように覗き込んでいたという。その中には鍍金仏や仏具類、絵巻物や茶碗、香合があった。そんな幼少期を送ったのだから、本物を見る眼を養われたのは言うまでもない。その上、お父様は明治という時代らしく外国の物にも関心があったそうで、家具や住まいはヨーロッパ調で西洋美術にも目を向けていらした。その影響で年端もいかない頃から古美術をお小遣いをためて買っていくようになり、やがて何十年にも及ぶ蒐集歴となる。

身銭を切るような高価な品を求めることもあったようで、ただの蒐集癖で片付けてしまえばそれまでだが、先生には確固とした思いがあった。

「大いなる精神の師としても、身近に実用の美のエキスを必要としたからである。」

また、「古今東西、人々の生活の年輪深く生きる祈りが込められたもの、国を超え、民族を超え、時代を超えて今もなお新しく息づくものを今の生活に生かしていくことが好きだからである。」とも。

先生の作品が生活に沿った器から芸術的なものまで、これほどまでに多彩かつ多様で変化に富んでいるのも納得がいくのである。


(藤)

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開催期間:2024年11月1日(金) ~ 11月10日(日)
Exhibition : October 18 to October 27, 2024
休業日:11月7日(木)
Closed on November 7 Thu.

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