魯卿あん便り - 温故知新 -

11月となり、晩秋と言って良い時期ではありますが、今年はようやく秋が深まったように感じます。
色彩豊かな秋の草花、そしてこれからの枝物を生けるのに魯山人先生のこんな花入はいかがでしょうか。

IMG_9440.JPG
北大路魯山人先生  信楽灰被花入 共箱
※価格等詳細はお気軽にお問合せ下さい



自然釉の降り掛かりやすい登り窯の火前で焼成された作品。高さ23㎝程で決して大きな作品ではないが、正面に大きく流れる自然釉の勢いが作品に大きさを感じさせる。

IMG_9441.JPG


IMG_9442.JPG


釉調は変化に富み、釉垂れ、釉溜り、焦げと向きを変える毎に異なる景色を楽しむことが出来る。
肩には檜垣文をぐるりと一周彫り、端正な造形に変化を与えている。

IMG_9443.JPG


IMG_9444.JPG

古信楽の造形力を高く評価していた魯山人先生、こうした花入では古信楽の壷に直接石膏を塗り、鋳込み型を作り、その型に水簸した信楽土を泥漿にして流し込む鋳込み成型を用いた。
胴には型の繋ぎ目の跡が残り、胴の下部には型を取った元の壷の釉垂れの跡もそのまま写し取られているのが分かり興味深い。
本作は檜垣文であるが、芒や草花を刻したもの、数寄者が造形の魅力を増すために敢えて古信楽壷の口を割ることもあったことから、焼成前に口を欠いたような姿にすることもあった。本歌を直接に型として用いながらも、更なる創作を加えることで、「信楽」というやきものが持つ文脈性も自作に内在させ、同時に一歩進める創作性も意図していたのかも知れない。
いずれにせよ「温故知新」をまさに体現するような魯山人先生の仕事の一つである。


京橋店「魯卿あん」では北大路魯山人先生の作品を常設展示しております。
随時新入荷の作品も展示しておりますので、足をお運び下さいますと幸いです。



京橋 魯卿あん

〒104-0031 中央区京橋2-9-9
ASビルディング1F

営業時間:11:00~18:00
定休日:日曜日・祝日
TEL: 03-6228-7704



Photo_24-11-05-19-24-16.235.jpg


Photo_24-11-05-19-24-16.541.jpg
花:竜胆・紫式部



(巻)

※無断転載、再配信等は一切お断りします

しぶや黒田陶苑のホームページに戻る

黒田草臣ブログはこちら
YouTubeページはこちら
Instagram ページはこちら
Twitterページはこちら
Facebook ページはこちら

この記事へのコメント