魯卿あん便り ~魯山人先生の書画2点~

公園の銀杏並木が、緑から黄色まで美しいグラデーションを作り、陽に当たって煌めいていました。

カレンダーや時計で気付く日々の経過のスピードの速さには、ただただ追われるように感じるだけですが、季節の移ろいで感じる時間の速度は、身体との響き合いが全く異なって、豊か。

お茶室でお花を拝見する際も、こころをひとつに集注していくと、なにかやわらかな安心感が生まれてきます。

眺めている時間が、永遠のように感じられることもあれば、ほんの一瞬でしかなかったこともあったりして、感覚というのは豊かなものです。


今週の床の間も、すっかり紅葉しているツツジです。

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北大路魯山人

軸:清風拂明月明月拂清風
花入:信楽灰被花入 共箱
花:ドウダンツツジ、椿


魯山人先生が芸術に目覚めるキッカケとなったのは、3歳の時に養母に手を引かれた見た、初夏の真っ赤な山躑躅だったと言います。

そして日本画家を目指したいと願って養父武造に京都市美術工芸学校(現 京都市立芸術大学)へ入学を頼んだのは12-13歳の時。

芸術人生の原点が幼少の頃だったこと、貧しさのために願いが叶わなかったことが、かえって魯山人先生の思いを駆り立て情熱となったのか知れません。

1925年には星岡茶寮にて、書を中心とした展覧会を開催しており、その中でご自分の絵のことを「下手の横好き」と仰っていますが、その半年後の展示会は絵画中心となり、その後も絵画の割合は増えていきます。


本日は展示中の書画よりご紹介させていただきます。

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No.KR-157
北大路 魯山人
水仙画賛  陶々菴箱
45.5 / 33.5cm
額寸:50.5 / 63.0cm

所載:『北大路魯山人秀作圖鑑』 白崎秀雄著 グラフィック社 1979年


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雪魄氷姿俗不侵 阿誰移植小窓陰 若非月姉黄金釧 難買天孫白玉簪

画賛は晩唐の詩人、羅隠の漢詩「玉簪」

本来は、玉簪花を指すようですが、水仙のすらっとして長い葉や茎、小さく咲く花を「玉簪(かんざし)」に見立てたのでしょうか?

薄墨で描かれた水仙はおとなしい雰囲気を纏いつつも、数々の花の配置によってリズムと強弱が生まれ、静かなエネルギーがみなぎっているような頼もしさがあります。

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北大路魯山人
川杭翡翠鳥図 陶々菴箱
87.0 / 27.0cm
軸装:168.0 /34.3cm


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可愛らしいカワセミが、竹杭のてっぺんに佇んでいます。


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川面には小さな魚が泳いでいる様子も。もしかしたら、カワセミはしっかりとその姿を捉え、今にも捕獲しようと狙っているのかもしれません。

のどかな風景ながら、筆の勢い、墨の濃淡、柔らかさ、軽快さなど、魯山人先生の筆使いを愉しめる作品です。


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書画の他、展示されていない作品もございます。ご希望がありましたらお問い合わせくださいませ。

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◇◇◇


京橋 魯卿あん
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