【NEW TWIST】 二週目 ~ 作品紹介 ~
数日前には11月だというのに半袖でも過ごせそうな暖かさでしたが、昨日からは急に季節を思い出したかのように冷たい風と共に冬の寒さがやってきました。
先週の金曜日からは当苑では初めてご紹介する6名の若手作家さん達の作品を集めて【NEW TWIST】と題し展示を致しております。
会場の入り口には大きなシロクマさんが優しい微笑でお待ちしております。
また、会場の一番奥のショーケースにはそんな若き先生方の道を切り開いてきたと言うべき巨匠の先生方の作品が、今の時代を走る若者たちを見守るように並んでいます。
会場
本日は、そんな巨匠の先生方の作品も交えて、作品のご紹介をさせて戴きます。
――― 巨匠作品 ―――
【鈴木 治 / SUZUKI Osamu】
SO-14:瑠璃 ふくら雀
SO-12:白磁 ふくら雀
SO-13:柿天目 ふくら雀
SO-12:白磁 ふくら雀
SO-13:柿天目 ふくら雀
Container, Sparrow-motf, Dark blue, White porcelain, Persimmon glazed
可愛らしい色付けのコロンとした塊はふくら雀。
小さな頭から少し尖らせた口ばし。
底から続く丸味を帯びた胴には緩やかな羽の凹凸。
その微かな釉の濃淡や影だけで、今にも動き出しそうな雰囲気。
蓋物の作りとなっている。
小さな頭から少し尖らせた口ばし。
底から続く丸味を帯びた胴には緩やかな羽の凹凸。
その微かな釉の濃淡や影だけで、今にも動き出しそうな雰囲気。
蓋物の作りとなっている。
SO-17:影青手水滴
Water dropper, Ying-qing glaze (pale blue glaze)
本作品は捻じれた鎬が入った丸いボディーに、小さな口と輪っか状の持ち手が付いている。
様々な要素をそぎ落とし、動物や植物をモチーフにされた作品を数多く残されている治先生ですが、本作品も作品のお題名の中には無いものの、可愛らしい小鳥を思わせるような姿。
持ち手の部分も、求愛の際に可愛らしい尾の飾羽を振るわせて魅せる雄鳥のように見えてくる。
様々な要素をそぎ落とし、動物や植物をモチーフにされた作品を数多く残されている治先生ですが、本作品も作品のお題名の中には無いものの、可愛らしい小鳥を思わせるような姿。
持ち手の部分も、求愛の際に可愛らしい尾の飾羽を振るわせて魅せる雄鳥のように見えてくる。
【八木 一夫 / YAGI Kazuo】
Artwork, "Mouse"
掌の中でくるくると撫でまわしているうちに、より手に馴染む形になり、光沢が出てきたようなオブジェ。
よく見るとネズミの可愛らしい耳や目鼻、髭が刻まれている。
よく見るとネズミの可愛らしい耳や目鼻、髭が刻まれている。
Water pourer
丸い半円形を、上下や前面背面に合わせて形を作った壷などの作品を残された八木先生ですが、本作品はその流れを汲んで出来たボディーの水注。
上下に半円型の形を合わせ、バリをあえて残して作られている。
蓋の形も、茶碗をひっくり返したような高台風の作りで面白い。
水注の前後には遊び心溢れる筆が入る。
八木先生による自由で、見る人を愉しませる企みを持ったデザインは、多くの作り手に影響を与え続けている。
上下に半円型の形を合わせ、バリをあえて残して作られている。
蓋の形も、茶碗をひっくり返したような高台風の作りで面白い。
水注の前後には遊び心溢れる筆が入る。
八木先生による自由で、見る人を愉しませる企みを持ったデザインは、多くの作り手に影響を与え続けている。
――― 【NEW TWIST】 ―――
【NEW TWIST】からは、今日の雨に準えて、4名の作家さんの作品をご紹介致します。
6-1 雨夜光 / Along in the Rainy Night
W81.0 / H69.0 / D4.5cm
陶土 / Ceramic
W81.0 / H69.0 / D4.5cm
陶土 / Ceramic
日本の四季を感じ、様々なことを思い、感じてきた日本での大学生活。
私はいつも環境の中にある動きを味わうのが好きだ。日の出や日の入りの雲の変化、木の葉の揺れ、雨の降る方向、霧の濃さ、街中の光と影の移り変わりなど、日々の自然の動きを五感で味わい、その中にあるリズムを感じ取ることで、私の心は落ち着く。
はっきりとした四季、天候の微妙な変化、四季折々の大地と空の表情に魅了されてきた。私が環境の中から感じ取っている様々な動きや、そこから生まれる心理状態を、陶芸という言葉で表現したい。
小さな陶片の集積で見せる本作品ですが、今日のような雨の日に眺めると、雨の雫が伝い、染み込み、色の濃淡が表れたようにも見え、深く落ち着いた雰囲気に見えてくる。
洪 湛筑 / HONG Jhan Jhu
1994年 台湾台北市生まれ
2016年 イギリス リーチ・ポタリー(The Leach Pottery)生産部門 インターン
2017年 台湾台北教育大学芸術造形デザイン学部 卒業
2020年 台湾台南芸術大学陶磁専攻修士課程 卒業
2022年 金沢卯辰山工芸工房 入所
2016年 イギリス リーチ・ポタリー(The Leach Pottery)生産部門 インターン
2017年 台湾台北教育大学芸術造形デザイン学部 卒業
2020年 台湾台南芸術大学陶磁専攻修士課程 卒業
2022年 金沢卯辰山工芸工房 入所
1994 Born in Taipei, Taiwan
2016 Internship at the production section of the Leach Pottery
2017 Graduated from the department of Arts and Design of National Taipei University of Education
2020 Completed the master's degree program of the Ceramics of Tainan National University of the Arts
2022 Entered Kanazawa Utatsuyama Crafts Studio
2016 Internship at the production section of the Leach Pottery
2017 Graduated from the department of Arts and Design of National Taipei University of Education
2020 Completed the master's degree program of the Ceramics of Tainan National University of the Arts
2022 Entered Kanazawa Utatsuyama Crafts Studio
◇◇◇
1-1 土の種子 / THE SEED OF SOIL
65.0 / 46.0 / H41.0cm
陶土 / Ceramic
65.0 / 46.0 / H41.0cm
陶土 / Ceramic
時間や、その積み重なりが見えるため、経年変化した古いものが好きという青木さん。
やきものにも同じ様な魅力があると感じ、作品にかけた熱量、時間、それらが深く感じられる作品をつくりたいと仰っています。
やきものにも同じ様な魅力があると感じ、作品にかけた熱量、時間、それらが深く感じられる作品をつくりたいと仰っています。
雨粒が当たると、段々と水分を含み、やがてホロッと崩れて中から何か生れ出てくるのではないかと思わせる、そんな空気感を纏っている。
青木 宏 / AOKI Hiroshi
1976 山口県生まれ
1998 九州造形短期大学 美術科 彫刻コース卒
2018 多治見市陶磁器意匠研究所 第15期セラミックスラボ 修了
現在 とこなめ陶の森 陶芸研究所勤務
1998 九州造形短期大学 美術科 彫刻コース卒
2018 多治見市陶磁器意匠研究所 第15期セラミックスラボ 修了
現在 とこなめ陶の森 陶芸研究所勤務
1976 Born in Yamaguchi
1998 Graduated from Sculpture course, Faculty of Fine arts, Kyusyu Zoukei Junior College of Art and Design
2018 Completed 15th gen of Ceramics Lab, Tajimi City Pottery Design and Technical Center
To present Working at Ceramic Art Research Institute, Tokoname Ceramic Forest
1998 Graduated from Sculpture course, Faculty of Fine arts, Kyusyu Zoukei Junior College of Art and Design
2018 Completed 15th gen of Ceramics Lab, Tajimi City Pottery Design and Technical Center
To present Working at Ceramic Art Research Institute, Tokoname Ceramic Forest
◇◇◇
5-3 布目象眼熨斗押「冬傘」 / Artwork, Inlaid, "Winter Umbrella"
9.3 / H8.0cm
共箱 / with a box signed by the artist
鉄、銀 / Iron, Silver
9.3 / H8.0cm
共箱 / with a box signed by the artist
鉄、銀 / Iron, Silver
熊本の伝統工芸品の肥後象がんも美しさに魅せられたことをきっかけに、京都、関東、石川と移り住み、その地域の文化や自然を肌で感じながら、そこに伝わる金属加工の技法を学び、吸収してきた。
こちらも今日のような天気にはピッタリの作品。
精巧に傘の骨組みまで作られた作品には、様々な形の雪の結晶のパーツが施されている。
展示の際は、下に鏡の敷板を置くことで、情緒あふれる雰囲気となっている。
精巧に傘の骨組みまで作られた作品には、様々な形の雪の結晶のパーツが施されている。
展示の際は、下に鏡の敷板を置くことで、情緒あふれる雰囲気となっている。
藤川 耕生 / FUJIKAWA Kosei
1997年 熊本県生まれ
2013年 肥後象眼白木光虎 師事
2019年 京都伝統工芸大学校 卒業
2024年 金沢卯辰山工芸工房 修了
現在 京都府内にて制作
2013年 肥後象眼白木光虎 師事
2019年 京都伝統工芸大学校 卒業
2024年 金沢卯辰山工芸工房 修了
現在 京都府内にて制作
1997 Born in Kumamoto
2013 Studied Higo-Zogan under SHIRAKI Mitsutora
2019 Graduated from Traditional Arts Super College of Kyoto
2024 Graduated from Kanazawa Utatsuyama Crafts Studio
To present Working in Kyoto
2013 Studied Higo-Zogan under SHIRAKI Mitsutora
2019 Graduated from Traditional Arts Super College of Kyoto
2024 Graduated from Kanazawa Utatsuyama Crafts Studio
To present Working in Kyoto
◇◇◇
4-7・10・9・4・12 T-set Dug Cup&Saucer
11.0 / 8.7 / H6.1cm
陶土 / Ceramic
11.0 / 8.7 / H6.1cm
陶土 / Ceramic
早くから作風を確立させず、自分の可能性を広げることに時間を費やした大学の4年間。
様々な要素の作品にチャレンジしてこられました。
様々な要素の作品にチャレンジしてこられました。
手影絵の手の表現を元に作られたと思われる作品や、そこから派生した動物なのか……アヒルの足のティーカップなどを手がけられ、どこか我々が子供の頃から慣れ親しんだ柔らかな世界観がやきもので表現されています。
今日のアヒルの行進は、ペタペタと滑らないように進んでいるように見えます。
みにくいアヒルの子はいません。皆それぞれに違う色合いですが、活き活きと輝ています。
みにくいアヒルの子はいません。皆それぞれに違う色合いですが、活き活きと輝ています。
中村 幹 / NAKAMURA Motoki
1999 京都府生まれ
2024 大阪芸術大学工芸学科陶芸コース 卒業
2024 大阪芸術大学工芸学科陶芸コース 非常勤副助手
2024 大阪芸術大学工芸学科陶芸コース 卒業
2024 大阪芸術大学工芸学科陶芸コース 非常勤副助手
1999 Born in Kyoto
2024 Graduated from Ceramic Course, Crafts Department, Osaka University of Arts
2024 Became a Vice-Teaching Associate for Ceramic Course, Crafts Department, Osaka University of Arts
2024 Graduated from Ceramic Course, Crafts Department, Osaka University of Arts
2024 Became a Vice-Teaching Associate for Ceramic Course, Crafts Department, Osaka University of Arts
◇◇◇
24日(日)までの会期となっております。
後半は豊海さん、中村さんがご在廊予定です。
どうぞお時間を見つけてお立ち寄り戴けますと幸いに存じます。
作家予定在廊日:
豊海健太 11月22日
中村幹 11月22,23日
中村幹 11月22,23日
(葉)
【NEW TWIST】
開催期間:2024年11月15日(金) ~ 2024年11月24日(日)
Exhibition : November 15 to November 24, 2024
休業日:11月21日(木)
Closed on November 21 Thu.
開催期間:2024年11月15日(金) ~ 2024年11月24日(日)
Exhibition : November 15 to November 24, 2024
休業日:11月21日(木)
Closed on November 21 Thu.
◇
しぶや黒田陶苑の「公式LINE」が出来ました。
当苑では、渋谷・京橋の店舗にて、年間約40回の陶・漆・金工・硝子・書画など様々な展示会を企画開催しております。
今後の展示会の案内をお客様一律に発信する為、是非ご登録くださいませ。
展示会に関するお知らせや、YouTubeの配信のお知らせをさせて戴きます。
当苑では、渋谷・京橋の店舗にて、年間約40回の陶・漆・金工・硝子・書画など様々な展示会を企画開催しております。
今後の展示会の案内をお客様一律に発信する為、是非ご登録くださいませ。
展示会に関するお知らせや、YouTubeの配信のお知らせをさせて戴きます。
この記事へのコメント