泥より出でて泥に染まらず

年々早くなっている、クリスマス並びにお正月商戦。9月に入ったかという頃にはデパートのお知らせが届いていたような気がする。とはいえ、クリスマスの飾り付けは楽しみで、毎年少し違ったオーナメントを見つけたりして、それにしっかり乗っている。先日後ろが平らになっているツリーを見つけ、壁に掛けられると知り目新しく思わず購入した。が、オーナメントの箱の一つが見つからず、いまだ裸木状態で何とも寂しい風情である。

2_MG_9977.jpg店 - コピー.jpg

『菊池克 作陶展』がスタートしました。開店前から多くのお客様が並ばれました。毎年、これは!と新たなモチーフの作品がお目見えして、見入ってしまいます。今年の「これは!」は一体どんな作品なのか、ぜひ直にご覧になっていただきたいと思います。

3_MG_9976.jpg店 - コピー.jpg

1IMG_9991.jpg店 - コピー.jpg


IMG_9988.jpg香炉.jpg

左:10 粉引香炉 右:130 粉引聞香炉

香道を始められた克先生、愛らしい香炉を作って下さいました。どんなお香を焚きしめられるのでしょう。

IMG_9961.jpgこれ.jpg

1IMG_9960.jpgこれ.jpg

 これくふて蛇の目皿

グレーと刷毛目の2種類の蛇の目皿。来年の干支のヘビ年に因んでお作り下さいました。

IMG_9968.jpg蓮3点.jpg

手前左から時計回りに 128 荷葉片口 / 29 荷葉鉢 / 25 荷葉鉢(大)

IMG_9957.jpg鉢裏.jpg

鉢の裏を返すと高台の中まで蓮の葉の葉脈が。

IMG_9956.jpg片口裏.jpg

片口の裏は蓮の実を表現されていて、こちらも見どころ。

IMG_9958.jpg蓮鉢.jpg

蓮の鉢は大きさが異なり、葉の開き具合もそれぞれ違っていて迷いそうです。

IMG_9951.jpg菩薩手 - コピー.jpg

菩薩手

先生が千手お作りになるとかたい決意をなさっている手のシリーズの一部をお出し下さいました。仏像の手の組み方の印相を思わせるものも。


IMG_9935.jpg筆 - コピー.jpg

筆架

浜辺に流れ着いた波に削られた巻貝を写したような筆架の様々は、見ているだけで楽しくなる形。

IMG_9948.jpg酒器.jpg
手前から時計回りに 112 鶏龍山盃 / 94 粉青菊水文盃 / 19 鶏龍山徳利

韓国に行かれた時に現地の土で焼かれた酒器。粉青の作品も韓国の土だとのこと。

IMG_9986.jpg熊.jpg
左:81 白熊水滴 / 右:8 月ノ輪熊水滴
白熊とツキノワグマ、生息地の違う2頭が一緒にいることは実際にはないものの、仲良く並んでいる様子は微笑ましい。


_MG_9938.jpgバク.jpg
貘水滴
1_MG_9939.jpgバク.jpg
2_MG_9937.jpgバク.jpg
立っている姿を横にしてみると、お腹と足裏が幼げで何とも愛らしさを感じる。


今週の花

_MG_9979.jpg床の間.jpg
軸: 富本憲吉
花器: 70 粉引扁壷
花: みかん
1_MG_9980.jpg床の間.jpg

_MG_9981.jpg軸 - コピー.jpg
富本先生の軸が、克先生の今回の水滴や筆架にぴったりである。

IMG_9965.jpg花.jpg
73 掛分花入
花:  シロヤマブキ・寒菊
IMG_9966.jpg山吹実.jpg
IMG_9969.jpg山吹.jpg
七重八重~の和歌の実のならぬ山吹ではなく、こちらは白い花の咲く実を付ける山吹。葉も黄色く紅葉している。

1IMG_9962.jpg花.jpg
133 螺旋掛花入
花: ウメモドキ・寒菊

克先生が作り続けておいでの蓮シリーズの作品たち。皿だったり、片口やぐい呑と形は違えど、どれも蓮。古来、蓮の大きな葉は食べ物を盛る器としても使われていた。77日の七夕の日に蓮の葉に溜まった朝露を集め墨をすり、その墨汁で字を書くと習字が上手になるとの言われも。

「蓮は泥より出でて泥に染まらず」

美しく咲く蓮の花と葉は泥沼の奥に長く伸びている地下茎から地上へと立ち上がり、泥を少しもつけることなく艶やかな緑色の葉と神々しいばかりの花を咲かせる。その様子は穢れ多き俗世においても清浄な心を保つ象徴として、古来より宗教の教義に結びついている。その蓮の花、午前中の早い時間帯でないと見ることができず、午後には花が閉じてしまうので、それを知らずにノコノコと蓮見物に行って、がっかりしたことがあった。

早起きと時計を心配せずに先生の蓮の器で心穏やかに過ごしましょうか。


(藤)

※無断転載、再配信等は一切お断りします。


しぶや黒田陶苑のホームページに戻る


黒田草臣ブログはこちら
Instagramページはこちら
Twitterページはこちら
Facebook ページはこちら



【菊池克 作陶展】
Exhibition of KIKUCHI Katsu
開催期間:2024年11月29日(金) ~ 12月3日(火)
Exhibition : November 29 to December 3, 2024

魯山人「大雅堂」・「美食倶楽部」発祥の地

魯卿あん(しぶや黒田陶苑・京橋店)

〒104-0031 中央区京橋2-9-9 ASビルディング1

営業時間 : 11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日

TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704

この記事へのコメント