【ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展】  ~ 作品紹介 ~

早くも12月半ばになろうとしています。
ここ東京は、ここに来て本格的な寒さを迎えております。
閉店後、ゴミ捨ての為に外に出ると、背筋を抜けるような寒さに思わず肩をすくめますが、グッとこらえて首を伸ばすと、どこか頭が冴えわたったような、爽快な気分になって参ります。

さて、今週の金曜日からは、本年最後の展示となります【ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展】が始まります。


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寒空の向こう……澄み渡る空の彼方に光る星々となって見守る、巨匠の先生方の作品を並べて、皆様をお迎えいたします。



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川喜田半泥子 / KAWAKITA Handeishi
No.3 茶盌 / Tea bowl
共箱 / With a box signed by the artist
11.8 / H10.0cm

土味も、その姿も、何とも素朴で柔らか表情のお茶碗。

掌に取ると、ふっくらとした土の中に小石が幾つも顔を覗かせており、それぞれの凹凸を感じることが出来る。
口縁もまた、小石を含んだまま引き上げたことで途切れたような部分が見られ、穏やかな姿の中にリズムを作っている。
見込には1点の掛け残しと石ハゼが景色となって愉しませてくれる。
高台もざっくりした土を軽快に削って作られている。

掌に収まる程良い大きさも、愛着が沸き、長く手元に置いておきたくなる。



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バーナード・リーチ / Bernard LEACH
No.7 白磁盒子 / Covered box, White porcelain
共箱 / With a box signed by the artist
7.0 / H6.1cm

算盤の玉のような、何ともシンプルな形。

蓋の上の面には四弁の花びらの花が彫られており、真っ白な白磁に、やや青味がかった釉が乗ることで、その刻まれた凹みに釉が流れ、花が印象的になっている。

高台脇にセント・アイヴスのリーチ・ポタリーと「BL」の押印が入る。
箱書には1969年とあり、晩年のお作と分かる。



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岡部嶺男 / OKABE Mineo
No.15 灰釉盃 / Sake cup, Ash glaze
共箱 / With a box signed by the artist
7.2 / 6.9 / H5.8cm

嶺男先生があらゆる物創りのベースとし、生涯に渡り大切にした技法である灰釉は最も重要で興味深い。

透明な釉薬はヘラ目や轆轤目の凹凸を活かし、釉が溜まると美しい青碧色(せいへきいろ)に変化して見える。
その釉色は瑞々しく表情豊かな自然そのままで美しい。
高台脇に見える釉垂れの美しい緑は、若竹を切って盃にしたような、瑞々しさを感じる。

高台内には「嶺」のくずしの彫銘が入る。



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北大路魯山人 / KITAOJI Rosanjin
No.17 志の酒呑 / Sake cup, Shino
善田喜一郎箱人 / With a box signed by ZENDA Kithiro
4.4 / H4.7cm
売約済 / Sold

魯山人先生の志野との縁は深く、昭和五年、かの荒川豊蔵先生とともに美濃古窯発掘調査を行う。調査は三十六もの古窯に及び、発掘した陶片を鎌倉の星岡まで運ばせるなど、非常に熱心であった。

戦後、特に晩年になると、魯山人先生の志野は炎が燃え上がるような深い紅色を呈するようになる。
全面に鬼板を配し、外側は轆轤目を、見込みには風に揺れる草文が優雅に掻き落とされて、自然美を至上としていた先生ならではの景色が幾つも愉しめる。

高台内に「ロ」の彫銘。
箱書は晩年の魯山人先生の展示会を取り仕切った善田喜一郎によるもの。



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八木一夫 / YAGI Kazuo
No.22 酒盃 / Sake cup
共箱 / With a box signed by the artist
5.8 / H3.5cm

腰の丸い碗型の盃は、とろみのついた化粧土にたっぷりと高台まで付けられて白く化粧されている。
その際着いた正面の指跡から、一筋掻いたように線が伸び、お正月には欠かせない慈姑(くわい)のような姿が浮かび上がる。

よく見ると口縁にかかった化粧土は少し流れて薄くなり、素地の色目が浮かび口元が締まって見える。
また、高台周りも削りが入り、微かな面を持った表情が見えてくる。

高台の削りも趣があって面白い。
高台内には「ヤ」の彫銘。

使う程に愛着が沸きそうな作品。



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濱田 庄司 / HAMADA Shoji
No.25 白釉黒流切込筒
Water container, White glaze with black trail
共箱 / With a box signed by the artist
14.1 / H15.8cm(蓋含む)

1968年に文化勲章を受章した後に、盛んに取り組まれた「流し掛け」の技法。
手柄杓をかかげ、黒釉を高いところから垂らしこみながらフリーハンドで模様を描き出された、躍動的なリズムを感じられる作品。

ジワリとぼやける色の滲みに複雑な色が重なって大変美しい。

見込は柿釉に斑釉が流れ、蓋を開けた時も美しい景色を愉しめる。



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塚本快示 / TSUKAMOTO Kaiji
No.30 白瓷皿 / Dish, White porcelain 
共箱 / With a box signed by the artist
11.4 / H2.8cm

薄く引き上げられた器体には、たっぷりと釉が掛っている。
見込側は滑らかな卵肌のような滑らかな質感。
滴るように流れた釉はキリっと仕上げられた高台を半分包むように隠している。




追加作品も一部ご用意しております。
師走のお忙しい時期になりますが、少し足を延ばして戴き、巨匠の先生方の作品で、ほんの束の間、心静まるお時間を作って戴けましたら幸いでございます。




(葉)






 【ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展】 
the Grand Masters of Showa Era
開催期間:2024年12月20日(金) ~ 2024年12月28日(土)
Exhibition : December 20 to December 28, 2024
休業日:12月26日(木)


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当苑では年に二回行っております、巨匠作家の逸品を展示する『ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展』。現在の陶芸界の礎を作られた昭和陶芸の巨匠たちの逸品は、さらに輝きを増して我々を楽しませてくれます。少数ですが他では見られない素晴らしい作品を今回もご用意致しました。是非ご来苑下さいませ。


【出品作家】
荒川豊藏、岡部嶺男、北大路魯山人、黒田辰秋、川喜田半泥子、小森松菴、塚本快示、中里無庵、バーナード・リーチ、三好木屑、三輪休和、八木一夫(敬称略)






 京橋 魯卿あん 
 Rokeian 
〒104-0031 中央区京橋2-9-9
TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
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営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日

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