魯卿あん便り〜土と生きる

年末の慌ただしい速度感を覚えたまま大晦日を迎え、未来の夢や目標を思い描きながら新しい年を迎えました。

皆様におかれましては、心休まるお正月休みを過ごされましたでしょうか。

本年も、変わらぬご愛顧のほどをよろしくお願い申し上げます。


ここ京橋でも、昨日より新年の営業開始となり、紅白のお花と共にお客様をお迎えしております。

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北大路魯山人 備前花入
雲竜梅、椿


新年最初の展示会は、明日から渋谷で始まります、2025年【初夢初碗展】。その後、同展示会は京橋に会場を移し、巨匠作品特集として開催されます。
また今年は、京橋魯卿あんでも常設展示のほか、特別な展示会も予定しております。今後のお知らせをお待ちいただけますと幸いです。

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さて、時代という大きな環境の中で、当苑で取り扱う昭和の巨匠作家は、土や釉薬の研究に勤しみ、土に命を捧げた人生を過ごされた方々だったといっても過言ではありません。

土、火、木と水・・・とくると想像してしまうのは、「金」を加えた『陰陽五行』説でしょうか。もしくは備前のある先生のお言葉を借りると、「風」の方が焼きものらしいでしょうか。

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北大路魯山人 信楽建水 見込部分
瀑布が落ちる淵のようです。


陶芸家のいう「土」は陶土であって、一般的な土とは異なります。

八世紀前半に編纂された『風土記』には、ツチ・ハニ・ヒジなどと土を区別し、農耕に関わる肥沃な黒土をツチと呼ぶ一方で、口に含むと酸っぱい酸土などを含む、陶土に向く土は、ハニと呼ばれていたそうです。

唐九郎先生や辻清明先生をはじめ、諸先生方の伝記に、土を舐めて選別していたとの記載がありますし、かの宮沢賢治も同じようにしていたとか。

農耕にとって良い土と、器にとって良い土をそれぞれに利用し、肥沃な田畑が育んだ食物を器に盛って戴く。

魯山人先生は、食器は料理のきものだと仰っていますが、「一物全体」「身土不二」の観点を伸長して捉え、「美」の視点から語られていらっしゃると言えるかもしれません。

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北大路魯山人 木の葉皿
濡れたように艶のある緑釉

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北大路魯山人 辰砂一葉皿
濃淡や掠れ、豊かな表情を持つ辰砂


そして縄文の昔からあった土との関係は、陶芸家だけに限らず、私たち人類のDNAに深く刻み込まれていて、だからこそこんなにも懐かしいような魅力を感じてしまうのでしょうか。


本年も、さまざまな作品をご紹介してまいります。

どうぞお気軽にお立ち寄りください。


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北大路魯山人 者けめ茶碗


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◇◇◇


京橋 魯卿あん
〒104-0031 中央区京橋2-9-9 ASビルディング1F
営業時間:11:00~18:00
定休日:日曜日・祝日
TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704

http://www.kurodatoen.co.jp/rokeian/



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