陶房の風をきく~松永圭太展~

今週の金曜日からは二年ぶりの【松永圭太展】が始まります。
原土を泥漿にして石工型に流しむ、鋳込み成形を主としてご制作をされる松永先生。
豊かな土の表情は長く時を経たようなプリミティブさがありながら、私たちの身近にあるような自然の生命力をも感じられます。

今回も先生にお伺いしたお話と共に、一部作品をご紹介いたします。


原土採掘場を初めて訪れた日のことを今でもよく覚えている。
露出した地層の断面は、その土地が積み重ねてきた歴史を覗き込むようでありながら、私たちが生きる現在とも地続きであることを感じさせた。
岩石が長い年月をかけて風化し、植物や生物の痕跡、鉱物、有機物などとともに堆積することで地層は形成され、その土地に存在した環境や時間の積層が、土の個性をつくりだしている。
抜け殻や果物、木々といった制作のモチーフは、今は風化して土の一部となったかつての風景をイメージしている。
そして、その土地が積み重ねてきた歴史の最表層には、私たちの日々の営みが存在する。
私にとって土は制作の素材であると同時に、その土地の時間や風景を想像するきっかけでもある。
土に積み重なった時間に対して、自分がどのように向き合い、形にできるのかを探りながら制作している。

松永圭太


No.36 繭盌 / Bowl, Cocoon
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図12 脈脈 / Myakumyaku
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今回も様々な作品をご出品いただいていますが、中でもお茶碗の種類を増やしてご制作をいただきました。

「今までさまざまな作り方を試行錯誤してきました。最近は鋳込みでの制作が中心になったことで、『地層』というモチーフを意識するようになりました。
今回種類を増やすにあたり、そのモチーフをほかの技法にも取り入れながら、これまでの茶盌を作り直すような感覚で制作しています。
まだ茶盌として完成するかはわかりませんが、赤い果実は土に鉄を染み込ませ、その上から薄く釉薬をかける方法に挑戦しています。
また、グラデーションの緑色は、色を付けた長石と原土の泥漿を同時に流し込むことで生まれています。」


No.32 脈脈 / Myakumyaku
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図11 脈脈 / Myakumyaku
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脈脈は土を石膏型に押し付け、タタラ状にしてご制作されるもの。これまで「脈脈」は拝見していましたが、今回は水脈が広がるようなマーブル状に模様が見えます。
図11のお茶碗では、釉薬の掛かったところは模様が灰白に見えますが、釉薬の掛からなかった素地には橙色に。
今回は二種類の白い土を使って練り込みでご制作をされているそう。
釉薬の掛かるところの色味の微妙な違いや、土によって緋色が出る出ないなど、それぞれの反応の違いを面白がって新たに取り組まれたのだといいます。


図15 宇金香 / Bowl, Tulip
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「宇金香」というのも新しく目にするお名前。英名にある通り、チューリップを意味します。
これまでもこの形のお茶盌を皆様も目にされていたかと思いますが、今回改めて付けられた「宇金香」。
お子さんがチューリップを歌いながら手遊びしている様子が、このお茶盌に重なるように感じられたのだといいます。
花が、花弁の一枚一枚で成り立っているように、縦のパーツを繋げて作られるこのお茶盌。
確かに実際のチューリップの花弁よりも、手遊びで作る時の手指が思い出されます。


図6 果実 / Fruits
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図4 果実 / Fruits
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また陶苑の個展では初めてご出品いただく「果実」のシリーズ。
切り出されたような断面は果実の種が詰まっているかのように穴が穿たれています。

実から切り出されたような作品は、型の時点でカットした形になっており、別パーツとしてご制作されているのだそう。

最初にご紹介した挨拶文にもあったように、最近は地層をテーマにご制作されている松永先生。
次のようにお話くださりました。

「地層、とくに粘土層は、風化した岩石が堆積して形成されます。その中には植物や生き物の痕跡も取り込まれています。
地層化する技法を用いながら、それを受け入れる形を模索する中で、岩や植物、生き物の痕跡を含んだ土に積み重なった長い時間を想像します。
果実は、その想像から生まれたモチーフの一つです。
果実をカットすることは、地層の断面を思わせると同時に、果物を食べることのような私たちの日常の風景とを結び付ける行為のようにも感じています。」



ここからはお写真にて作品をご紹介いたします。

No.38 繭盃 / Sake cup, Cocoon
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No.39 繭盃 / Sake cup, Cocoon
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No.40 繭盃 / Sake cup, Cocoon
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31. Cactus
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21. 三ツ足 / Vessel, Tripod shaped
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22, 23. 三ツ足 / Vessel, Tripod shaped
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18. 幹 / Vessel, Miki (Trunk)
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25. 水たまり / Puddle
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29. 30. 蛻 / Monuke
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初日にはさらにお茶碗やぐい吞が追加される予定です。

また、松永先生のご在廊は初日の6月26日(金)から28日(日)まででございます。
ぜひお立ち寄りくださいませ。



【松永圭太展】
Exhibition of MATSUNAGA Keita
2026年6月26日(金) ~ 7月5日(日)
休業日:7月2日(木)
June 26 to July 5, 2026
Closed on July 2 (Thu)

※無断転載、再配信等は一切お断りします


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